第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
「それでは!試合を再開します!」
全面になっただけあって、先ほどまで練習していた生徒がギャラリーとなり、そして、黄瀬が引きずり出された。
「お待たせ。」
「やっと出やがったな…」
「スイッチ入ると、モデルとは思えねぇ迫力出すな。」
日向の言葉に黒子は注意を呼び掛ける。
「伊達じゃないですよ。中身も。紫苑さんの一番弟子ですから…」
最後の言葉を聞いたものはいなかった。その言葉が何を意味するのか、リコの目は今までよりも大きく開いていた。
「(凄い…改めてみると化け物だわ。)黄瀬涼太…え?」
紫苑も思わず振りむいた。黄色い声援、ギャラリーは男子だけじゃなかった。ファンの呼びかけに、黄瀬もにこやかに手を振り返す。そのたびに声が大きくなる。
「な、なんじゃい?!」
日向は思わず飛び上がった。
「あぁ、あれ?あいつが出るといつもっスよ。っていうか…」
笠松はとたんに走り出すと黄瀬に飛び蹴りをかました。
「てめぇもいつまでも手とか振ってんじゃねぇ!しばくぞ!!」
「いってて…もう、しばいてるじゃないっすか。笠松先輩!」