第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
「…黄瀬!何ユニフォーム着とるんだ?お前は出さんぞ。」
「え?」
「各中学のエース級がごろごろいるうちの中でもお前は格が違うんだ。」
「ちょ!…監督やめて!そういう言い方マジやめて!」
「お前まで出したら試合にもならなくなってしまうだろう。」
哀れな黄瀬の目が助けを求めているのに気付くものはいなかった。紫苑までもが監督を睨みつけている。普段そう言う顔を見せないだけあって、どこか迫力に満ちていた。
「言ってくれるね。」
「久々にカチンときた。」
日向も伊月も目つきが鋭くなる。黄瀬は慌てて謝った。
「すいません!ほんとすいません!ベンチには俺入ってるから…」
そこまで言うと、周りには聞こえないように口元を隠した。
「あの人をぎゃふんと言わせてくれれば、たぶん俺出してもらえるし…それに…そもそも俺を引きずりだすこともできないようじゃ、キセキの世代を倒す資格もないしね。」