第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
「ところで…これは…?」
「見たまんまだよ。今日の試合うちは軽い調整のつもりだが…?」
「調整…」
「出ない部員に見学させるには、学ぶものがなさ過ぎてね。」
「はぁ…」
リコの腕が震える。紫苑も思わず手を握りしめた。ここまで舐められたのは初めてのことだ。今まで感じたことのなかった感情が湧きあがる。
「無駄をなくすため、ほかの部員達には普段通り練習してもらってるよ。だが、調整といってもうちのレギュラーのだ。トリプルスコアなどにはならないよう、頼むよ。」
リコから青い炎が燃え上がる。誠凛メンバー全員がこの状況下に不満を持っているようだ。
「なめやがって…つまりは練習片手間に相手してやるってことかよ…」
やる気も―ド全開の火神。黒子はそんな火神の様子を見ると少し口元を緩めた。