第3章 本気です
挑発的に手を振り黄瀬をあおる。紫苑と黒子は顔を見合わせ肩を落とした。
黄瀬「えぇ~。そんな急に言われてもー…あぁ~でもさっき…」
顎に手を当て何か考え込むと、黄瀬は笑顔になった。
黄瀬「よし、やろっか。いいもん見せてくれたお礼。」
ボールを火神に投げ返し本格的に二人の間に火花が走る。
紫苑の後ろからリコのため息が聞こえる。
リコ「まったくもう~。」
黒子「まずいかもしれません。」
リコ「え?」
黒子の言った意味が分からず呆けると紫苑が半分厳しい顔で火神と黄瀬を見つめながら、リコに伝えた。
紫苑「私たちが持っている彼のデータは、去年までのです。」
キセキの世代がどこまで進化しているのかまで紫苑や黒子には量るすべもない。このままでは火神の自信損失につながるのではないか。二人はそう思ったのだ。しかし、そんな心配をよそにゲームは始まる。
攻めが黄瀬。守りが火神。二人はしばらくにらみ合うと、黄瀬が左サイドからあがった。火神もそれを阻止しようと前に出るが、黄瀬はそこでいったん止まると後ろに回ってからシュートを決める。リコははっとして目を見開いた。
今の動きは、さきほど火神が伊月を抜いたのと同じ動き。
「彼は、見たプレーを一瞬で自分のものにする。」