第3章 本気です
リコが後ろで練習試合のことを話しているのを耳にしながら、ふと違和感に気付いた。リコも気付いたらしい。ギャラリーがやけに多い。
紫苑はリコ達に近づいて何が起こっているのかを把握した。
黒子は黄瀬と眼があったのでお辞儀をした。
黒子「お久しぶりです。」
黄瀬「久しぶり!」
リコ「黄瀬涼太…」
黄瀬は周りを囲まれて動けない状況だ。困ったように頭をかくと悪いと思ってるのかいないのか曖昧な態度を示した。
黄瀬「すいません。マジで…てか、五分待っててもらっていいすか??」
紫苑はため息をつくと黄瀬の方へ歩き出した。
群衆の後ろから腕を組む。
紫苑「ちょっと、通して。」
紫苑の目の前にいたヒトが数人振り返りハッとして道を開ける。紫苑は開けられた道を通り黄瀬の横に立った。
黄瀬「流石。しおりん。現役モデル兼アイドルッスね。」
紫苑「ごめんなさい。皆さん。バスケ部は今練習試合を控えているので、ギャラリーは遠慮してもらっています。選手たちの調整も兼ねて静かにしてください。サインはあとで受け付けます。」
「あの…もしかして…白華紫苑さん?」
黄瀬のファンの一人から恐る恐る声が上がった。すると、黄瀬は紫苑の肩に手を乗せると抱き寄せるようにし、自慢げに言った。
黄瀬「そッスよ。俺の彼女。傷つけるようなことは許さないッス。」