第2章 黒子はボクです。
誰もこの現象を把握しているものはいなかった。コートの外で試合観戦している紫苑と、不思議な現象を引き起こした犯人、黒子以外は。
リコ「(存在感の無さを利用してパスの中継役に…??しかもボールに触っている時間が極端に短い。じゃ、彼はまさか元の影の薄さをもっと薄めたってこと?!ミスディレクション。手品などに使われるテクニック。それによって自分以外に相手の意識を誘導する。つまり、彼は試合中、影が薄いというよりもっと正確に表現すると、自分以外を見るように仕向けている。…もと帝光中のレギュラーでパス回しに特化した見えない選手噂は聞いてたけど、実在するなんて?!キセキの世代、幻のシックスマン!!)」
紫苑「…流石監督。これが、キセキの世代の強さです。」
自信ありげに答える紫苑にリコの疑惑に満ちた目が向けられる。
リコ「(この子はそれをずっと追っていた。それに、なんで全て筒抜けなの…?この子は…キセキの世代?)」
紫苑「…私は、キセキの世代…かもしれないです。」
不気味に笑う紫苑。
黒子テツヤ、白華紫苑。この二人はリコの前に現れた初めての逸材中の逸材だ。