第2章 黒子はボクです。
火神「行くぞ。」
リコ「(さぁて、ルーキーたちはどこまでやれるかな~?)」
二年と一年の間に立ち、リコはホイッスルを高く拭きならすと同時に、ボールを高く投げた。
ジャンプボールを制したのは、火神。さすが、アメリカ帰りと言った迫力のあるジャンプ。
そのボールを河原が取るとゴール近くで待機していた火神へとパスを回した。
それを受け取るや、いきなりダンクを決め紫苑は目を輝かせた。
「うわぁ~…マジか今のダンク…」
「すげぇ…」
リコも紫苑と同じくその迫力に圧倒されていた。思わずわいてくる期待に口元がほころびそうになる。
リコ「(想像以上だわ…あんな荒削りのセンス任せのプレーでこの破壊力!!)」
日向も額の汗をぬぐい、苦笑いと共に火神を見つめた。
日向「とんでもねぇな。おい。(即戦力どころかマジ化けもんだ…)」
その後もボールは火神へと集中し、一年は順調に点を奪って言った。スコアは現在11;8の一年がリード。
伊月「一年にここまで押されるとわな…」
小金井「つーか。火神だけでやってやがる…」
火神「(くっそ!死ぬ気で逆撫でされてしょうがねぇ!!)」
手ごたえを感じない火神のいらだちが募っていく。
このままのプレーでは、チーム内を乱しかねない存在となってしまう。そう悟った紫苑は、わかってるとは思いながらもリコに向かって自分なりの今の見解を報告した。
紫苑「彼のあの気性の荒い性格からして、自由な動きが基本。それ自体は悪いことじゃないです。…でも…」
リコ「チームプレーをしてくれないと、ってことね。それは私も考えていたわ。…性格を変えるなんてそう簡単にはできないけれど、なにか案があるの…?」
鋭い目を向けてきたリコに、少し目線をコート内にずらすとゆっくりと頷いた。
紫苑「たぶん…黒子っちが何とかしてくれると思います。こういうことに関しては、彼の右に出る者はいませんから。」