第16章 今度は君の手を引いて。(白布賢二郎)
「賢ちゃん…賢ちゃんはちゃんと胸を張って良いんだよ」
あの白鳥沢が負ける。
あの牛島のいる白鳥沢が。
その事の大きさや重大さが全部わかってるわけじゃない。
だけど、彼は、彼らはあんなに凄いプレーを見せてくれたじゃないか。
「一番、格好良かった」
白布を抱き締めたまま少し震えた声で、はそう言った。
「一番は牛島さんじゃないのかよ…」
「う、牛島さんは憧れ…!!賢ちゃんは…!//」
抱き着いているの肩を掴んで少しだけ体から離す。
パチリと目が合うとたちまちの顔は赤くなって。
白布は真剣な視線を向けたまま口を開いた。
「俺は、なんだよ…」
もしも、同じ気持ちでいてくれているのなら。
真っ赤な顔に手を添えて、ゆっくりと顔を近付ける。
「……賢ちゃんは、特別、なの…ずっと、大好…ーっ」
重なり合った唇から流れる気持ち。
自分の想いをぶつけて良いのだろうか。
彼女の『特別』を自分が受け取って良いのだろうか。
「ん…、ふぅん……っ」
絡ませた舌、キスの合間に漏れるの吐息が白布の欲を膨らませた。
「けん、ちゃん……」
ずっとずっと言いたかったけど、
ずっとずっと言わずにきた事。
「…、俺もお前が好き。お前が特別」
白布の言葉を聞いての瞳には涙が浮かぶ。
ぎゅうっと抱き着くとは白布の違和感に気が付いた。
「け、賢ちゃん……!あ、の…あ、当たってる…!」
抱き着いたのお腹の辺りに固い感触。
慌てて体を離そうとするが、白布にガッチリとホールドされてしまいそれは叶わなかった。
「仕方ないだろ、好きな女の部屋でこんなに密着してるんだから」
「…////」
恥じらう様子もなく淡々と答える白布にはさらに赤面した。