第12章 エゴイストの罰。(赤葦京治)
「、入れるから後ろを向いて」
「……っ」
赤葦の言う通りなのかもしれない。
体を巡る熱も、入れると言われて期待してしまう心も犬と一緒だ。
だから、自分は今日…木兎に。
避妊具を着けた赤葦はの腰を両手で支え一気に自身を沈めた。
「……ーーっ!!」
目の前が真っ白になるほどの刺激が走る。
「のナカ、狭くて気持ちいい」
「ん、あ…っ!やぁ…ん!!あ、かあし…く…!」
「約束を守れなかったけど、はまだこのまま木兎さんと付き合って行くの?」
一切木兎に触れさせない。
それが赤葦の出した交際の条件。
「……私…っ、木兎さんにっ…昨日…」
腰を打ち付ける赤葦の動きに揺さぶられ、途切れ途切れの言葉をは何とか絞り出す。
「私…っ、別れ…っん、あ…っ!」
「…………!」
の言葉に赤葦は動きを止める。
「……木兎さんと、別れたの…?」
「私……、木兎さんの事好きだった、でも」
後ろ向きのまま、
少し声は震えていた。
は振り返る事なくその先の言葉を続ける。
「でも、赤葦くんの事が、頭から離れなかった…!私、もう赤葦くんしか……」
「」
「ひ、あっん!!やぁ…っ!」
赤葦は再び腰を動かし始める。
好きな男よりも自分を選ぶと彼女は言った。
これほど、心が震える事はない。
欲しくて堪らないの心が自分に向いているのだ。
これで赤葦がの想いを受け止めればハッピーエンド。
だが赤葦はそれを選ばなかった。
「の事は死ぬほど好き、でも俺はの手を取れない」
「あっ…あぁ…っん…!」
「これは自分へのペナルティ、木兎さんからを引き離しておいて自分だけ幸せになんてなれないよ」
「なら…っどう、し…て…!んっあぁ…!」
どうしてこんな風に私に触れるの。
どうして私に熱を注ぐの。
どうして自分のモノみたいに刻み込むの。
たくさんのどうして、も浮かんでは消える。
消されてしまう。