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蜜月の熱に酔わされて。(ハイキュー R-18)

第9章 シンクロハートビート。(菅原孝支)


「んっ…!菅、原…せ、んぱ…い…」

キスの合間に先輩の名前を呼ぶ。
目が合った先輩はいつも通り優しい顔をしていたけれど、瞳の奥に隠してある『男』が見えた気がした。

私が先輩からのオトナなキスに翻弄されている間に、先輩の手は私のカーディガンのボタンに掛かる。

その瞬間昨日の昼休みの事を思い出して、弾かれたように我に返る。


「せ、先輩…!!」
「………ごめん、初めてだって言ってたのにな…俺焦ってんのかな」

違う…そうじゃないんです。

「怖がらせてごめんな?」

先輩が、怖いわけない。
先輩にこんな顔させちゃダメじゃないか。
私、何やってるんだろう…!

「違うんです…!!」
「え…?ちょ…!?!」

思い切り菅原先輩に抱き着いた。
私のいきなりの行動に先輩はそのまま床に倒れ、私が押し倒した形になってしまう。

恥ずかしい。

けど、ちゃんと違うって伝えたくて。
先輩の事、大好きなんだって伝えたくて。

「ビッ…クリした…ハハ、急にどうした?」

そのままの体勢で先輩は私の背中をトントンと叩いてくれる。
大丈夫だから落ち着いてって言われてるみたい。


「菅原先輩…話、聞いてくれますか……?」
「うん?」


私は途切れ途切れになりながらも昨日の事を先輩に話した。
初めての女はメンドクサイって男子が話していた事。
それを聞いて先輩もそう思うかもしれないって心配になった事。

……先輩とするのが、嫌なわけじゃないって事。

「そっか…そりゃ心配になるよな」
「ごめんなさい…」

謝る私の頭に先輩の手が優しく乗せられる。

「俺はさ、」

明るい声色に私は菅原先輩の顔を見た。
色素の薄いブラウンの瞳が私を捉えた後、ニッコリと笑った。




「俺にとってはメンドクサイなんて事…一つもないよ」
「え……?」
「寧ろ、嬉しくて堪んない」

ヨイショと体を起こして私と向き合うように座った。



「だってさ…全部俺が初めてなんて嬉し過ぎじゃん、誰にも見せた事ない体も、顔も、感情も…俺は見ていいんだから」
「すが、わら…先輩……」

そう言って照れたように笑う先輩は本当に嬉しそうで、私の心はスッと軽くなって…その後じんわりと温かくなった。



「仕切り直し…な?」



小さく頷いた私にとびきり優しいキスを一つ。

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