第6章 ブラック注意報。(影山飛雄)
追い詰められた壁際、この状況になって初めて影山くんと目が合った。
それはもうバチッと音が聞こえそうなほど強い視線。
これ以上距離を詰められたら、どうなるか知ってる。
「影…山くん……」
最後の一歩が詰められる。
もっと近付くとしたら、それはーーー。
「んっ……!」
唇が重なる。
あんなに怒鳴ったり、睨んだりするくせにキスはとんでもなく優しい。
だから、溶かされてしまうのだ。
もう私は彼に逆らえない。
「ん…はぁ…っ」
口内でどんなに逃げようとも舌は絡め取られ、時折唇を甘噛みされる。
バレーと同じ、とても繊細な動き。
私は直ぐに立っていられなくなってしまう。
「……っ」
「…観念しろよ」
床にヘタリ込んだ私を見下ろすその瞳も低く囁いたその声も、色気をたっぷり含んでいてクラクラしてしまう。
彼が密かにモテるのも、時々無意識にそれを出しちゃってるからなんだって思う。
「…立てよ」
「うん…?」
腕を掴まれ引き上げられた私は壁にもたれ掛かる様にして立つ。
左手で腰を支えられ、右手はシャツのボタンへ。
プツンプツンと一つずつ外れていくこの時間が恥ずかしさを倍増させた。
素肌に空気が触れる感覚がして全てボタンを外されたのだと悟る。
「……っ」
じっと下着姿を見つめられ、思わず前を隠したくなるけれど…彼はそれを許してなんかくれないだろう。
「チッ……!月島のヤロォ…!!」
「ひゃっあぁ…!」
眉間に思い切り皺を寄せたかと思ったらいきなり胸に手が伸びてきた。
下着毎鷲掴みにされ、思わず声が漏れる。
まだ、誰か近くにいるかもしれないのに…!
私は両手で口を塞ぎ声を抑えようとした。
でも影山くんはそれすらも許してはくれなかった。
「隠すなよ…ちゃんと、俺に聞かせろって…」
壁に押し付けられた私の首に影山くんの舌が這う。
背中がゾクゾクして歯を食い縛っていないと声がまた漏れてしまう。
誰かに見られたら大変なのに、そのスリルが私をどうしようもなく興奮させていた。
「ここ、手ェ掛けてろ…」
そう言われ、両手は影山くんの首へと誘導される。
一度私にキスをして、スカートの中に手を偲ばせる。