第4章 魔法にかけられて。(及川徹)
この部屋に入るのは確か小学生以来だっただろうか。
及川の部屋に足を踏み入れたはキョロキョロと部屋を見渡した。
岩泉と三人で集まるのは大抵この部屋で、よくバレーの話をしていた。
あまり物のない部屋で目立つのは青と黄色のバレーボール。
そのボールにが目を奪われていると背後から急に抱き締められる。
「徹くん…っ?」
「ごめん、カッコ悪いけど…俺今余裕ない」
「…っ」
の肩口に顔を埋めるようにして及川はそう告げた。
フワフワな髪と熱い吐息がの首筋をなぞる。
を振り向かせた及川は少し屈んで額同士を合わせた。
「ちゃんの事、大好き」
その言葉がまるで合図かのように。
引き寄せられる形で二人は唇を重ねた。
「んっ…ふぅ……んん…」
キスに必死について行こうとするが愛しくて堪らない。
唇を離す事のないまま及川はの服に手を掛けた。
それに気づいたの体が小さく跳ねる。
「大丈夫、俺の腕の中で今よりもっと可愛くなって…」
の体から力が抜けていく。
細い腕を伸ばして、そっと及川の首に巻き付けた。
「お…お願い、します……」
「……!…その顔、反則…」
緊張と羞恥から潤んだ瞳。
スベスベの白い肌はピンク色に染まっていた。
及川はそっとの背中に手を添えて床へ押し倒した。
「可愛い、ちゃん…」
甘い言葉を囁きながら及川は一枚一枚の洋服を脱がしていく。
同じ様に自分も服を脱ぎ、お互いに残すは下着のみとなった。
「ちゃん?」
自分の上半身をじっと見つめているを不思議に思って呼んだ。
「あ…ごめん…っ、徹くんの体…その、すごく綺麗だなって…」
これが、媚びてるわけでもなく素で言っているのだから敵わない。
一体、どこまで自分を煽る気なんだろう。