第4章 魔法にかけられて。(及川徹)
及川の手をとったの手は冷たくて、少し震えていた。
及川は自分の体温を伝える様に優しく握る。
帰り道、の母親に連絡を入れた。
「…うん、大丈夫。責任持って俺が送るから、おばちゃん…ちゃんを怒っちゃダメだよ?…うん、じゃあ後で」
スマホをポケットにしまうと俺は振り返ってちゃんの顔を覗き込む。
「とゆーわけで、後一時間お許しが出ました⭐」
「!…お、お母さん怒ってなかった……?」
「うん、大丈夫」
ホッとして肩の力を抜いたに及川は素直な想いを伝える。
しっかりと、目を見て。
「ちゃん、俺はこの後ちゃんを俺の部屋に連れてってイチャイチャしたいんだけど…いい?」
「……!!」
抜けたはずの力が再び体を強張らせる。
目を丸くして及川を見たまま、顔を真っ赤にしていた。
及川の言わんとしている事は恋愛経験の浅いでもわかる。
でも、経験豊富であろう及川の相手が自分につとまるのだろうか。
がっかりさせてしまうだけではないのだろうか。
一文字に口を結んだの顔を見て及川はの考えを察する。
「…無理にとは言わない、俺、ちゃんのこと大事にしたいから」
顔を上げては及川を見上げる。
そこにいつものキラキラとした笑顔はなくて、あるのは真剣な瞳。
その言葉の、瞳の真剣さはにもしっかりと伝わった。
だから、大丈夫。
「…徹くんの部屋、行く」
真っ赤になって絞り出したの一言が及川をどれだけ舞い上がらせた事か、言った本人はきっと想像もつかないだろう。