第1章 信じることのできない出会い
なんで、なんでわかるの。
私は、男性が苦手というか。怖い。
ただ、怖い。怖いのだ。
「…聞いちゃいけないことだったかな。ごめんね。」
『え、あ、あの、ごめんなさい…。』
今の私はひどい顔だろう。
「ところで、もう終電ないけど、どうやって帰るの?」
『………え!?』
一番避けたかったそのことを理解するに時間がかかってしまった。
私の家は電車を5回ぐらい乗り換えをしなければたどり着かなく、今日は途中まで電車を使ってあとはタクシーを使おうと思っていたが…。
その終電もなくなった今、ここから家までタクシーをとれば、2万は余裕でこすだろう。
『嘘…で、しょ…。』
「いや、嘘じゃないよ?」
『わかってますけど!だけど…信じたくなくて…。』
あぁ、何処かに魔法のお家とかはないだろうか。
駅周辺にビジネスホテルはなく、その代わりラブホテルが普及しているというなぞの地帯。
寝る場所など、ここらにはもうない。
「そう、家はここから近いのかい?」
『近かったらこんなに絶望してないと思いますけど。』
少し嫌味のように言ってみると、‘霜月隼’は
「そうなんだ。」
と、流しされてしまった。
「ところで、僕も仕事終わりで終電なしじゃ帰れないんだ。そこで絶望している君に提案があるんだけど、」
『はい?』
「一緒にあそこで一泊っていうのはどうかな。」
と言って彼が指を指したのは…
『ラブホテルじゃないですか…』