第3章 デート?
「はーあ!楽しかったぁ〜!」
閉園の音楽が流れ、ここの遊園地のお客さんはそそくさと門を抜けていく。
その門へと続く列の中で、隼さんはのびのびと腕を伸ばしそう言った。
本当、楽しかったな。今日は。
ここ最近仕事で埋め尽くされた私のダイアリーがこの1日で鮮やかに彩られたような気がする。
それに今日は一日中笑って、遊んで。
あれもこれも全部、隣にいる隼さんのおかげだ。
『…っ、あの!』
とっさに出した私の声は、隼さんだけでなく周辺の数人にも聞こえたようだ。
彼は振り返り、なんだなんだという目でこちらを見てくる。
『今日は本当に、ありがとうございました…。』
彼はまたもや‘キョトン’とし、爽やかで静かな笑みを浮かべ、
「僕の方こそ、付き合ってくれてありがとう」
と、返してくれた。
少しおかしくなって、2人で笑いながら夕暮れに染まる門を通った。