第3章 デート?
__隼side__
…可愛いなぁ。
昨日の0時に会ったから、もうすぐ会って12時間になる。
月詩さんはこの半日で、いろいろな表情を見せてくれた。
僕に向ける不可思議な顔、乗り物に恐れを感じ引きつらせた顔、笑った顔、無防備な顔。
もうツキノ寮のみんなぐらいずっと一緒にいる気がする。
…って言っても、それは僕が勝手に思い込んでいるだけなんだけどね。
「はーあ、どうしようかな…」
僕は今、昼食を買いに売店への列に並んでいる。
‘なんでもいい’、なんて言われたものの、1人の人なんだ。好みはあるだろう。
5mほど離れた売店の屋根の下には、メニューがある。
唐揚げ、アメリカンドッグ、たこ焼き…
茶色いものが目立つなぁ。
あれやこれやと悩んでいるうちに、刻一刻と順番は近づいてくる。
まあ、適当に買えばいいかな…。
特に指定しなかった月詩さんの責任でもあるだろう…。
「って、何勝手に押し付けているんだ、僕は…」
目に入ったものを頼んで席に戻ると、彼女は頰を1人でつねって悶々としていた。
…そういえば男性が苦手、なんだっけ…。
ラブホであんな無防備で寝ていた彼女曰くそうらしいけど。
それにしても、
「可愛いなぁ…」
と、僕が呟くと彼女は目を見開いてこちらをじっと見た。
おおっといけない。完全に無意識だったか。
適当にはぐらかし、僕と彼女は昼食を終えた。