第3章 デート?
「さあ、行こうじゃないか」
と、なんだか気分が良さそうな隼さんはラブホテルをでて言った。
隼さんの周りには花が飛んでいるように見え…なくもない。
『あの、その行きたいところってどこなんですか?』
「遊園地。」
『…え?』
あまりにも想像していたのと違っていて(想像もできなかったが)驚いてしまった。
まず昨日の夜あったばかりの人と遊園地行きたいから付き合ってとか言わないでしょう普通。
普通の人が疑問に思うであろう普通の質問を普通ではない隼さんに問いかける。
『なぜ‘私’となんでしょうか…?』
「うーん、…魔王様の近くにいたから、かな」
あれ、この人昨日とキャラ変わってないか?
自称魔王様は変わってないけど…。
隼さんは相変わらずあたりに花を撒き散らしている。
あぁ、この人は朝と夜で雰囲気が変わる人なのか。
よし、そうしとこう。(理解に苦しんだ末の結末)
11月の寒空の下、私たちは遊園地に向かうのだった。
「〜♪ルルるん♪ル〜ン♪」
『…隼さん、そんなに遊園地行きたかったんですか…?』
遊園地へと続く道を歩きながら、隼さんは鼻歌を歌いいかにも気分が良さそうだ。
「最近は仕事が忙しくってね。休暇もろくになかったから、嬉しいんだよ」
そういえば、この人有名人なんだっけ。
と、アイドルに対する失礼な考えをしながらも
『大変ですねー』
と、営業スマイルとやらでいつも会社で喋っているのと同じ口調になってしまった。
「…君、素顔は出さないんだね」
『はい?』
「うーん、でも昨日あったばかりだもんね」
当たり前だ。昨日の夜会ったばかりの人にすぐ馴れ馴れしくする必要はないだろう。
「あ、見えてきた」
彼のその言葉の通り、遊園地のアトラクションが次々と見えてきている。
ジェットコースター、観覧車、あぁそれに、お化け屋敷まで…
ふと腕時計をみると、短い針は10を指している。
開園してちょっとすぎたぐらい、か…