第2章 困惑
__隼side Part2__
お風呂場へと続くであろうドアを開けると、彼女が倒れていた。
ジェットバスの前に倒れているから、案の定足でも滑らせたのであろう。
…それにしても綺麗な体だなぁ…。
「……何を考えているんだ僕は」
理性の壁が少し崩れるのを感じながら、横にかけてあったバスタオルを彼女にかけ、とりあえずベットまで運び様子を見ることにした。
ベットまで運んだのはいいものの、さて、どうしたものか…。
僕は先ほど飲み干した空のグラスにワインを追加し、彼女が気を失っている横に腰掛け、1人飲みくれていた。
別に外傷は見当たらないし、息もしている。
起こす…のにも気がひける。
なぜなら、
彼女は大口を開けて幸せそうに寝ているからだ。
「…フフ、フハハハハ…!……はぁ、会ったばかりの男の前でこんなに無防備で寝ちゃって。どれだけこっちは耐えているか、貴女は知らないんだろうね…」
ふと、タオルから出ている白い脚をみた。
「…綺麗」
思わず見惚れてしまうような白い肌、折れてしまいそうなほど細い脚。
僕は片方のつま先に小さな口づけをした。
…チュッ…
『んっ…』
僕は顔をさっとあげ、彼女の顔を見た。
起きてはいない…ようだが、こんなことで感じてしまうとは…
「…へぇ、感じやすいほうなんだ…」
自然と口角が上がり、僕は彼女の上に覆いかぶさるようにまたぐ。
今、僕のすぐ下には月詩さんがいる。
腕に込めている力を緩めれば、彼女にキスができる。
「…なんて、僕らしくないよね」
僕は月詩さんの横に倒れ、彼女を軽く抱きしめて眠りについた。