第2章 困惑
__隼side__
仕事が終わって1人でふらふらと歩いていると、車の中の男が女の子に向かって話しかけていた。
魔王様は悪いことをしてる人は見逃さない主義だから、その女の子を助けた。
気まぐれだったのかもしれない。
ふと時計を見ると0時12分。
…ここの終電はたしか10分だったか。
僕も泊まるところはないし、ここらはラブホが普及してるのは知ってる。
1人ではさすがに入れないし…。
と思った。
でも目の前にいるではないか。
頼りになる女の子が。
そこから遅めの…いや、むしろ夜食を一緒に食べ、ホテルに向かった。
女の子…月詩みずきさんはどうやらこういうのは慣れていないらしく、部屋の選択は僕に委ねた。
僕が選んだのは竜宮城がテーマの部屋。写真が綺麗でなんとなく選んだのだが。
彼女の手をとり部屋を向かう。
そこはまさしく海の底のようだった。
海が来たら喜びそう…と思ったが、まず海はここに来ないだろう。
月詩さんもこれには感激したらしく、『すごい…』と声をもらしていた。
最初に彼女にはお風呂に入ってもらい、僕は置いてあったワインを楽しみながらこれからどうするか考えていた。
まあ僕はあくまで紳士だから。理性がなくなることはまあ…ない、だろうけど。
僕も男だ。どうなるかはわからない。
流れに身をまかせる…というのも1つの手だが、それは最終手段にしたい。
あれやこれやと考えていると、ものすごい音が聞こえた。
月詩さんがお風呂に入ってしばらくした後だ。何かあったのかもしれない。
僕はワインを飲み干して、お風呂場へと向かった。