第2章 困惑
優しいなぁ…というか、なんでこの人は数時間前に会ったばかりの人に優しいのだろうか。
とりあえずお風呂に向かう。
まずお風呂があるっぽい扉を開けると、ライトが青く、ジェットバス?の湯船がぶくぶくと泡だてていた。
『すご…』
1人でつぶやいてしまったが、それぐらいお風呂は広く、私みたいな人が使うのはもったいないと思うぐらいだった。
一通り体を洗って、湯船に浸かろうとする。
まず右足。そーっと入れると、つま先は泡に飲み込まれ、水に浸かっているという感覚がなかった。
ほう、ジェットバスとはこういうものなのか。といういかにも庶民のようなことを考えながら、右のつま先は湯船の底についた。
続けて左足を入れようと右足に重心をずらした瞬間、視界が揺れた。
え?地震?と思ったのもつかの間で、右足がもつれた。
ズルッという効果音のようなものが聞こえた。
ドジなのか。バカなのか。
自分はジェットバスの圧力には勝てずに滑ってしまったようだ。
あ、これ頭ぶつけるかも。
これ以降は覚えていない。