第2章 困惑
「どこがいい?」
と、隼さんは私に笑顔で問いかけた。
どうやらここは受付がいない自動貸し出し?みたいで部屋の写真と番号が振り分けてある。
どの部屋もかなり豪華だ。
『…あまりこういうところはわからないので隼さん決めて下さい…。』
「そう。じゃあここで」
彼に選択肢を委ねてよかったのか。悪かったのか。それはわからないが今夜の寝床なるところは、竜宮城のような海がテーマのところだ。
隼さんがボタンを押すと横の空洞のところからおそらく部屋の鍵が出て来た。
番号は1番。この広場からでもすぐわかる場所にあった。
「いこうか」
彼は単調にそう言うと、私の手を取りその部屋へと歩き出した。
『すごい…』
部屋に入り出た言葉がそれだった。
部屋全体が海のように青で囲まれていて、プログラフィックで壁で魚が泳いでいる。
さすがに隼さんもこれには驚いたようで、「綺麗だね」と部屋を見渡しながら言った。
さて、ここからだ。
彼は手を出さないと言ったものの、言葉だけでは信用できない。
一緒に夜を過ごすのだ。油断もできない。
うんぬんと考え込んでいると、先に行動に移したのは隼さんだった。
「じゃあ月詩さん。先にお風呂入って来たら?僕はいろいろやることがあるからあとでいいよ。あぁ、入浴中に転がり込むなんてことはしないからどうぞくつろいで。」
隼さんは自分の家のようにいいながらも気を使ってくれているのだろう。その優しさが私の不安を軽減してくれた。
『ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。』
あ、でも着替えどうしよう…と考えていると、隼さんはそれに気づいたのか、「あぁ、たぶんこの手のホテルはなにかしら着替えがあると思うから」と、言ってくれた。