【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】
第2章 平行世界の彼等
「どうしたの?難しい顔して。」
「同じ顔、同じ声、同じような性格なのに、世界が違うと、やっぱり違うんだな、って思って。」
生きて、育ってきた環境が違うのだから、似てるといっても、別人。この世界は平和そのものなのに、俺の世界は、常に死と隣り合わせ。俺の知る及川さんや、岩泉さん、花巻さん、松川さん、それにここにいる殆どの人が、誰かしらの命を踏み台にして生きている。なのに、こっちの世界の人間は、多分武器を手に取ったことも、誰かの命を奪った事も、誰かに命を狙われることもない。
「むぐ、」
徹に両頬を抓られた。突然のその行動に驚いた。
「考える事は色々あるだろうけど、きっとこれも何かの縁だし、今はそういう暗い事は一旦忘れて、こっちの世界で楽しい事しようよ。」
「楽しい事?」
俺がそう聞き返すと、徹は、岩泉さんたちを呼んだ。そして、何やら話し込んでる様子。そして、話が一段落ついたのか、俺を見てニヤリと笑った。なんだか嫌な予感がした。
「折角だし、一緒にバレーやろうよ!」