【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】
第2章 平行世界の彼等
何がどうしてこうなったのか分からない。ルールは橋口に教えてもらい、多分理解出来たと思うが、何故俺が…。
「チームは、俺・マッキー・園子ちゃん対岩ちゃん・まっつん・莉緒ちゃんの組み合わせでいくよー。
いつも言うように、女の子を狙っての明らかな強打はなしだからね!」
橋口はバレーが出来ないと言っていたのに、やるのか?
コートに立つ橋口はどこか嬉しそうな表情で、その嬉しそうな表情を浮かべる岩泉さんも何処か嬉しそうだった。その岩泉さんの表情を見て私の中でまた小さな違和感が生まれた。
「園子ちゃん、分かってると思うけど、さっきみたいにボールを撃ち落とすのはなしだからね。」
徹のその言葉に頷いた。
「及川ナイッサ!!」
花巻さんのその言葉を合図に、徹は助走をつけ、走り込み、ボールをあげた。そして、ジャンプをしボールを打つ。物凄い勢いで相手側のコートへ飛んでいくボール。恐らく、これが私に向かってきたボールであれば、私は多分また撃ち落としていたと思う。その物凄い勢いのボールを岩泉さんが受ける。
バレーボールはボールを持ってはいけない競技。そう橋口が言っていた。だから、向かってきたボールはキャッチしてはいけない。長い放物線を描いたボールが、吸い込まれるように橋口の手元へ。まるでボールが意思を持って橋口の元へ飛んで行ったように感じた。なんとも不思議な感覚だった。そして、さっきまでボールは凄い威力を持って飛んでいたのに、そのスピードは何処へやら。橋口の上げたボールに助走をつけ、松川さんが飛んだ。
こっちに来る。
そう思い、足に力が入った。だが、松川さんがボールを打つ瞬間、徹が松川さんの前に飛んで、打たれたボールは、徹の手に当たり相手コートへ落ちる。ボールが落ちれば、落ちなかった方の得点となる。なら、これで俺達のチームが一点。そう思い油断した。落下していくボールが地面に触れるかという所では橋口はボールを拾った。そしてボールは再び宙を舞う。呆気に取られているうちに、俺の横をボールが通り過ぎた。
「莉緒ちゃんが女の子なのほんと、惜しいな。」
悔しそうでありながらも、どこか嬉しそうな表情で徹はそう言った。