【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】
第2章 平行世界の彼等
「なあ、園子。」
「なんですか?」
今度は岩泉さんに呼ばれ、岩泉さんの方へ。
「お前のいる世界には花巻と松川もいんの?」
「はい、同じファミリーです。というか、ここにいるほぼ全員がそうですね。」
「じゃあ莉緒もか?」
「いえ、彼女だけは俺の世界にいません。まだ俺が出会ってないだけなのか存在しないのか分かりませんが。」
「…そうか。」
そう言った岩泉さんは、何だかホッとしているように見えた。
「嬉しそうですね。」
「え?あ、そうか?」
「なんだか安心したって感じに見えました。」
その俺の言葉に、岩泉さんは少し悩んだ様子を見せた。悩んでるというよりは、言葉に迷っているという表現の方が正しいかもしれない。
「マフィアってさ、やっぱり人を殺したりだとか、自分も怪我したり、下手したら死んだりとかだろ?」
「はい。」
「莉緒にはさ、そういう事させたくねーんだよ。それが違う世界の莉緒で、こっちの莉緒とは全く別の存在だったとしてもさ。
あ、だからといって、別にお前の事を否定してる訳じゃねーからな。」
「大事なんですね、彼女の事。」
「まあな。」
そう言って笑った岩泉さんは、全く俺の知らない岩泉さんだった。こんな風に笑う岩泉さんを見た事が無かったから、何だか少しドキっとしたというか、チクッとしたというか、なんとも表現しずらい気持ちになった。