【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】
第2章 平行世界の彼等
暫くすると監督、コーチと呼ばれる男達がやってきて、そいつらに事情を説明する徹。そして、マフィアの俺がマネージャーとして働く奇妙な一日が始まった。
先程徹を殴った人物である橋口莉緒にマネージャーとは何たるかを教えてもらい、彼女に言われた通りに仕事をこなす。バレーと呼ばれる玉遊びをする見慣れた顔を見るのは何とも言えない気持ちだった。
バレーボールと言われるボールを追いかけ、拾ったかと思えば、それを強く叩きつけたり、ルールを聞いて、そのルールを理解したつもりだったが、そのバレーに何をそんなに必死になっているかそれだけは理解出来なかった。
「…理解に苦しむ。」
「バレーした事ないの?」
そう尋ねる彼女の言葉に頷いた。
「私も昔はバレーの何が楽しいのかよく分からなかった。けどね、やってみると結構ハマっちゃうんだよね。」
そう言って彼女は笑った。
俺の世界にいない存在の彼女に、どう接すればいいのかよく分からなかった。
「橋口はバレーやらないの?」
「うん。」
「なんで?」
「私がいるとチームの輪を乱すから。」
悲しそうにそう言った橋口の言葉の意味が理解出来なかった。やりたいなら一緒にやればいいのに。チームの輪を乱すなんて言い方をしたけど、皆彼女に好意を寄せてるように見えたし、
「橋口は運動音痴なの?」
「ううん。運動は多分どちらかというと、得意な方かな。」
なら、その輪を乱すという言葉の意味が余計理解出来ない。
「あ、流れ玉には気をつけてね。」
流れ弾?徹は、安全だと言っていたのに、やはりこちらの世界も俺の世界と変わりないのだろうか。
「危ない!」
俺と園子の方向に物凄い勢いで飛んでくるバレーボール。咄嗟に胸元から銃を出し、引き金を引いた。パンっと乾いた音が響き、バレーボールは銃弾を受け破裂。つい、条件反射でボールを撃ち落としてしまった。バレーボールを撃ち落とし、慌てて出した銃を胸元に隠した。
「何、今の?」
唖然とする皆。静まり返る何とも重々しい空気。
「あははー、バレーボール破裂するなんておかしな事もあるもんだね!」
「ホントだな!あははー!」
徹と岩泉さんがすかさずフォローを入れるが些か無理があるような気がする。