【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】
第2章 平行世界の彼等
案内され着いた場所は、青葉城西高校という学校だった。青葉城西。俺のファミリーと同じ名前なのに、ここでは学校。そして、体育館へと入ると挨拶をする人達。その人物達は同じファミリーの者達と同じ顔、同じ声。
「及川が女連れ込んでるー!」
「何?新しい彼女?」
「なんで、花巻さんと松川さんが、」
「なんで俺らのこと知ってんの?」
目の前にいる彼等は確かに花巻さんと松川さんなのに、俺が彼等の名前を呼ぶとキョトンとした表情。
「あー!えっとね、俺の遠い親戚で、夏休みだから遠方から遊びに来てるの!今日母ちゃん達も家にいなしい、一人家に置いとくのも可哀想だと思って連れてきた!園子ちゃんです!今日一日マネージャー手伝って貰うことにしたから!」
そう言って、及川さん、じゃなくて徹がフォローを入れる。
「よろしくー。」
同じ顔、同じ声。なのに私の知ってる彼等とは違う。及川さんと岩泉さんと似ている彼等がいたから、こちら側にも同じ人間はいるだろうと予想はしていたが、こうも見慣れた顔ばかりだと、正直気持ち悪い。
「あれ?莉緒ちゃんはまだ来てない?」
「莉緒ちゃんなら外に行ったけど。」
莉緒?初めて聞く名前。パラレルワールドと言っても、やはり俺の世界にいない人間もいるのか。
「及川、あんた今日来るの遅くない?」
声がした方向を見ると、そこには初めて見る女の子。初めて出会う少女の姿を見て、驚いた。こんなにも可憐な少女を見るのは初めてだ。何処かの国のお姫様のような気品。服装は、ジャージ姿と軽装ではあるが、その服装でも見劣りしない、本当に美しい容姿だった。
彼女は俺の姿を見るなり徹を殴った。その行動にダメだと言われていたのに、胸元に隠していた、銃に手を伸ばしたが、その手を岩泉さんに掴まれた。
「いったー!なんで殴るの?!」
「部活に彼女連れてくんな!」
「彼女じゃなくて親戚だって!」
そう言って話をする徹。
「ここではそれ禁止つったろ。」
「…すみません。」
「間違っても莉緒に変な真似すんじゃねーぞ。」
そう言って俺を睨みつける岩泉さんが俺の知る岩泉さんと重なった。