【HQ】光の射す世界【Egoist✕光など無い世界】
第2章 平行世界の彼等
「女だとダメなのか?」
「ダメって訳じゃないけど、公式戦は男女別だから、一緒にバレーするには性別って壁があるからね。」
成程。橋口が皆と一緒にバレーをしないと言ったのにはそういう意味があったのか。だけど、それなら女子と一緒にバレーをすればいいのでは?と思った。が、無関係の私が口出しする事でもないと思い、それを口にはしなかった。
そして、次は岩泉さんがサーブを打つ。及川と同等とまではいかないが、岩泉さんが打ったボールも凄まじい威力だ。俺の世界での二人はセイジョウの中でも群を抜いている。それが、こっちの世界ではバレーの才能として現れているのだろうか。その飛んできたボールを花巻さんが拾い、徹がボールをあげる。
「園子ちゃん!」
放物線を描いて、私の前方へと飛ぶボール。これを皆みたいに跳んで打てばいいのか。見よう見まねで助走をつけ、ジャンプした。振り上げた右手はボールに触れることなく、そのまま転がった。
「ごめん、ちょっと高かったね。」
「いや違う。」
簡単そうに見えた。同じようにやれば出来ると思った。だが、ボールとの距離感がイマイチ掴めなかった。
「ちょっと待って。」
眼帯を外した。多分、この方がいい。
「園子ちゃん麦粒腫か何かなのかと思ってた。」
「いえ、普段はこれを付けてた方が昭準を合わせ────」
しまったと思い途中で言葉を止めたが、花巻さんにはしっかり聞こえていたようで、照準って何?と聞かれた。素直に射撃と答えてはまずいだろう。
「園子ちゃん、射撃部に入ってるんだよ!」
「へーそんなのあるのか。」
徹の返答に納得したのか、花巻さんはそれ以上何も言ってこなかった。徹を横目で見ると、ウインクしながら、フォローは任せてと言われた。