第1章 If 宮野真守 is ツンデレ……
どうしたのか、と私に問い続ける彼を無理矢理仕事に向かわせた。こんな情けないところ、見られたくなかったのに……。
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【宮野真守side】
あいつの泣いている顔が頭から離れない。仕事だってまともに出来ないくらいに。
今日は何の日か?
んなの、決まってる。
あいつと俺が付き合いだした日。
付き合って、一年目の記念日だ。
分かってる。
本当はわかっていた。
でも、男なのに女々しすぎるだろ。
そう思った俺は、つい、知らない、と嘘をついてしまった。あいつが傷つくことなんか分かってたのに。大体、無理矢理笑顔作ってんの、ばればれなんだよ。俺がどれだけお前を見てるのか、知らねえだろ。
好きだから………、
どうしようもないくらいに好きすぎるから、素直になれないことだってあるんだよ………。
でも、結果的に俺はあいつを泣かせてしまった。しかも、俺のいないところで、ただひとりで泣き崩れていた。
んなの、彼氏失格だろ………。
俺に弱いとこを見せらんねえくらいに、あいつは俺を信用してないってことだろ。
俺がこんなだから………。
ごめん………。
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何かしていないと気が紛れなくて、私はずっと家中の掃除をしていた。窓も網戸も、棚もトイレも。家中全部。
そうしないと、涙が零れそうになる。
違うって思いたいけど、嫌なことばっかり考えちゃう。
まもは、本当は私のことなんか好きじゃないんじゃないのか、って思っちゃう。私の前だけでは本当のまもが見られるんじゃなくて、本当はただ私のことが嫌いなだけじゃないのか。だから、私に冷たくするんじゃないのか。
そんな、マイナスな感情ばかり。
こんな自分が大嫌いだ。