第1章 If 宮野真守 is ツンデレ……
「なんか、機嫌いいな」
席に着いてご飯を食べていると、まもが私を見ながら少し呆れ気味にそう言った。『そう?』と、わざとらしくならないようにさらっと言ってみる。
「明らかにな。何かあったのか?」
あー………ダメだ。
顔が笑っちゃう。
『今日は何の日でしょうか♪』
まもなら答えてくれるはず。
だって………今日は………
「はあ?分かるわけないだろ」
『え………?』
まもが、何だそれとでも言わんばかりの顔で私を見る。本当に分かってない顔だ。
『そ、そっか………。まあ、そんなことはいいとして!早く行かないと間に合わないんじゃない?』
私は無理矢理に笑顔を取り繕った。
ちゃんといつもみたいに笑えているかは分からない。もしかしたら引きつっているかもしれない。
「もうこんな時間かよ!?やっば……」
まもが並べられた朝食を一気に口の中にかき込む。私は食欲が湧かず、ただ彼が慌てて食べるのをじっと見ていた。
「んじゃ、行ってくる」
『うん、いってらっしゃい!』
ちゃんと明るく言えてるかな?
ちゃんと笑えてるかな?
ちゃんと…………
まもが家を出て行ったのを確認した途端に、涙が溢れてきた。
『どうして………どうして覚えてないの………っ!』
今日は私達が付き合い始めて、ちょうど一年の記念日だ。こんなの重いと思われるかもしれないけど、何もしてくれなくてもいいから、覚えていて欲しかった。何もいらないから、せめて一緒に笑って………。
『まものばかぁ………』
そのまま玄関に泣き崩れた。
その時。
「悪ぃ!忘れ物………って、はあ!?な、なに泣いてんだよ!?」
運悪く、忘れ物を取りに戻ってきたまもと鉢合わせしてしまう。私が泣いているのを見て焦るまも。
『忘れ物って?………あ、お弁当!そういえば渡すの忘れてたね!今すぐ持ってくる!』
最悪だ………。