第1章 If 宮野真守 is ツンデレ……
『まもはいいからご飯食べてて』
私は彼の背後に立ち、違和感を感じた原因の髪の毛を触る。まだ髪の毛を整えていないせいか、所々跳ねていたのだ。しかも、それがいつもよりも大分ひどい。
「っ!た、食べにくいんだけど」
『いいからいいから!ほら、気にしなーい』
なかなかの強敵………。
どれだけ手でといても、ぴょこん、とすぐに起き上がってくる。これはこれで………
『可愛い……』
「は、はあ!?何言ってんだよ!!ばっかじゃねえの!?」
後ろに立っているから彼の顔は見えないけれど、耳まで赤いのを見ると、おそらく彼はデレている。私にしか見せてくれない本当の彼。みんなのまも、じゃない。今目の前にいるのは、私だけのまもなんだ。
『うん。ねえ、まも』
「な、なんだよ」
少し戸惑いながらぶっきらぼうに答えた彼がとても愛しい。わたしだけのまもなんだ、ってそう思えるから。なんて、わがままで自己中かな。
でも。
でもね………
『大好き』
大好きなんだよ。
「んな!?あ、朝っぱらから何言ってんだよ!寝ぼけてんのか!?」
『ねえ、まもは?まもは……私のこと、好き?』
彼が少し俯いた。
彼の返事を待つこの時間が長い。とても長く感じる。
「………ばーか」
『え……?』
彼の髪に触れていた手を彼に引っ張られ、体制を崩す。そして、そのまま彼の方へと傾き、後ろから抱きついてしまう形になった。
『ま、まも………?』
まもが私の耳に口を近づける。
息が耳に触れて、とてもくすぐったい。
「大好きだよ。…………いちいち言わせんな」
そして自然な流れで、彼が私の顔を彼の方へと向ける。そして、どちらからともなく、キスをした。