第5章 肝心なのは…
やっぱり 一
私もそう考えたくらいだから先輩たちも同じことを考えた
でも、一が打ったボールは先輩たちの手に当たりながらもコートの床へ落ちた
……これで1年チームのマッチポイント‼︎
またしても徹のサーブ
安心して見てられると思ったのに、徹が打ったサーブはコートの白いラインを少し越えて落ちた
「…トスで取り返せよ」
そう言いながら、一が徹の肩をたたいた
「先輩たちにも花を与えないとな」
と、一静
「俺にトス上げろ」
と、貴大
「俺に上げろ〜 俺が返してやる!」
「湯田うっせー まぁなんとかなるから」
と、同じ1年の湯田 兼生と沢内 求が言った
出会って数日しか経ってない一静や貴大にまでこんなことを言わせるなんてほんとうにすごいな…
反対側から飛んできたボールは一静がレシーブ
徹の元へ戻って一か貴大か湯田か沢内
さぁ…
徹は誰に上げる??
先輩たちはやはり一だと思っているのだろう
一のいる左にブロック二枚
でも、徹の手から離れたボールが向かったのは右の貴大
反応が遅れた先輩の手をカスってセンターラインのあたりに落ちた
「っシャ!」
と、貴大が歓喜の声を上げた
誰もがこの1年チームのエースである一にトスを上げる場面だと思うが、みんなが思うことをしたのでは最高の司令塔とは言わない
やっぱり、セッターは性格が悪くないと成り立たないのかもしれない……