第5章 肝心なのは…
そしてふたたびサーブは1年チーム
サーブは一
一が打ったボールはうまく先輩たちのコートへ入り、レシーブ、トス、アタックとキレイに決まり1年のコートに返ってきた
湯田のレシーブ、徹のトス……
これで決まれば勝ち
さぁ、誰にあげる? 徹!
徹の手から離れたボールは一静のもとへ
ボールはまたレシーブ、トス、アタックと三段攻撃で返ってきた
貴大のレシーブが少し短かったけど、ちゃんと徹の元まできた
ここで徹が上げたのはやっぱり一
完璧なトスを上げられないセッターは心の拠り所であるエースにボールを託してしまいがちだ
一がアタックしたボールは先輩がブロックしきれず、壁に跳ね返された
ピーーー
……終わった…
結成約1時間前の1年チームがスタメン組に勝った……
やっぱり、秀才、及川 徹は健在だ
ふと、徹の姿を見ると1年に囲まれた徹、一、一静、貴大、湯田、沢内の姿があった
………チクッ……
違う…… 羨ましくなんてない
でも、なんでこんなに胸の奥が引っかかるんだろう……
「真輝ちゃん!
ポジションがやっぱり分かると見ててちょっと面白いね」
「やっぱり、スポーツはルールが分からないと面白くないもんね」
「今日は、もう上がるぞ」
先輩たちもダメージは大きいようだ
陽奈乃ちゃんによると、このスタメンvs1年の試合は毎年恒例のようだ
伝統としてやったら、ものすごい痛い目を見たという感じなんだろう
この試合で活躍した4人はスタメン候補確定だろう
やっぱり、何事も最初が肝心だということを改めて痛感した1日だった