第4章 再会
「…〜〜〜っ!!!
ご、ごごめんなさい!!」
いきなり大声をあげて立ち上がった私に驚く彼に構わず、その場でガバッと頭を下げて 手元にあったその本を差し出した。
「こ、これですよね?探してる本って………ぁぁあの、まさか借りに来る人がいるとも思わなくって、え、えっと……すいません………」
想定外が起こりすぎて語彙力が迷子になってる。
もうダメだ。終わった。色んな意味で。
まずは、新刊をのうのうと読んでいた私が1番ダメ。
あまりにも図書館に来る人が少ないし、入荷してからちょっと日が経ってたから意識が抜けてたけど、
新刊にはそこそこ需要があるよって、着任早々 先生にも言われてたのに…!
あぁもう、なんでこの人に対して、トラブルばっかり起こしてるんだ、私…!!
「…あぁ、読んでたんですね。それならまた…」
「い、いえ!私は大丈夫なので…!」
失敗続きの自分を挽回したくて必死になる。
楽しみにしていた本を 受付の人が読んでて借りられませんでした、なんてとてもシャレにならない。
表情変わらないけどきっと呆れられてるよ、少なくとも私なら 何だよって思っちゃうよ…!
「いいですよ、赤石さんが読み終わってからで。
読みかけだと、気になるでしょう。」
他にも読みたい本ありますし、そう言ってカードと本を渡される。
……怒って…ない?
…相変わらず顔から感情の類は読めないけど、
アカアシさんから出た言葉は、予想してたどれよりも優しかったことに拍子抜けして。
同時に不思議にも思って。
……あの、どこで私の名前を…?