第7章 波乱ーII—
まず、状況を整理するのが先決だ。
① 試合明けで通常練習が早めに終わり、多くが帰る中、俺と木兎さんは自主練を始めた。
②赤石が忘れ物を届けに来た。
③彼女は不幸にも、もとい 偶然にも木兎さんに気に入られ、自主練に付き合わされた。
④練習を終え、俺は白福さんの書置き(いつの間にかタオルの上に置かれていた)に従い、赤石を送るために一旦部室に来てもらった。
⑤帰ったはずの3年生達が部室に戻ってきた。
⑥びっくりした赤石が、とっさに俺の後ろに隠れた。
そして今に至る。
……⑥だな。
「……誤解です、みなさん」
「弁明か、正直に言え。今なら100本サーブかフライング10周か選ばせてやる」
「それどっちにしろペナルティじゃないスか」
木葉さんの実質 話を聞いてもらえない宣言の上に、なんたる理不尽。
隣の2人も楽しそうにしてるだけで助けてくれる気はなさそうだ。
木兎さんの方を見ても、プリントに苦戦してるらしく援軍は期待できない。
……そういえば木葉さん、最近元カノに新しい彼氏が出来たっていじけてたっけ。
つり上がった目に涙が溜まってるところを見ると、俺が傷口に塩を塗り込んだ形になっているらしい。
…………はぁ。
心の中だけで、溜息をつく。
前は、確か当の彼女にフラれた時だったか。
こうなった時のこの人は、面倒くさい。
しょぼくれモードの木兎さんに負けず劣らず、だ。
しかし、こちらに非はない。
確かに女子が部室にいることはイレギュラーだが、彼らの思うような事は何一つ無いのだから。
俺は彼らが話を聞いてくれることを祈りながら、これまでの経緯を洗いざらい説明した。