第3章 複雑オトメゴコロ
…………不覚だった。
名前が似てたってことだけで、あそこまで驚いていた自分が。
あんなの、なんてことのない偶然。
自分でも思ったじゃない、似たような名字には何度も出会ったことがあるって。
今回は 今までの中で1番合ってる文字が多かったってだけで、特別なことは何もない。
よく考えたら「赤西」とかの方が語感もそっくりだよ……etc
……一旦落ち着いてみると、あの時慌ててた自分が恥ずかしい。
誰かに吐き出したい気もするけど、なんだか笑われそうだから絶っっ対言わない。
そもそもこんなことで悩んでいる自分もバカバカしい。
…なんで悩んでるのかもよくわからないけど、なんだか とりあえず恥ずかしい。
「……ん〜〜!!」
もう負の連鎖だ。
思い出さなきゃいいのに、そういうものに限って何故か時折起こるフラッシュバック。
その度に1人で何とも言えない恥ずかしさに身悶える、その瞬間がすごーく苦しい。
返却に来た時だって、正直私は気まずかった。
でもアカアシさんはそんなこと、知る由もないし。
……いや、気づかれたらそれはそれでイヤなんだけど。
向こうはこっちの事なんか気にしてないだろうに、自分だけモヤモヤしてると思うとさらに自己嫌悪が……endless
………なんで人はどうでもいいことの方がよく覚えてて、後から心を乱されなくちゃいけないんだろう。
今日も図書館につくと、また脳内であの時の記憶が蘇ってきて。
このことに関して、もう何度目かわからないため息をついた。