第3章 複雑オトメゴコロ
「あぁもう、ダメだダメだ…忘れよう……」
頭から振り落とすように首を振りながら(これも何度目かわからない)、向かったのは新刊コーナー。
そう、今日はようやくこの子が読めるのだ………
中学の時からずっと気になってたけど、既刊の数が多すぎて今まで手が出せなかった時代小説のシリーズ最新刊!
この図書館に全巻揃ってることに狂喜乱舞した時代小説のシリーズ最新刊!!
本当はもっと前に入荷してたけど、既刊が読み終わるのに今日までかかったシリーズの最・新・刊!!!
今日はこれを読む為に学校に来たと言っても過言ではない!!!!
落ち込んでる場合か、私!!!!!
さっさと気分を持ち直し、いつになくハイテンションでカウンターに座る。
お願いです、神様……
今日だけは、このひとときを誰にも邪魔されませんように…………。
「すいません」
……神はいなかった。
フラグ回収速度、約15分。
顔を上げれば、目に入ったのは肩から下だけ。
「探してる本があるんですが」
————渦中の アカアシさんだった。