第8章 過去
谷地「……っ。」
「私の中のすべてが止まったの。それを救ってくれたのが、院長と赤葦先生だったの。すぐに手術台に乗せられて。」
谷地「……その後…どう、なったんですか?」
「2週間ほどかな。目を覚まさなかったの。」
谷地「!!」
「毎日、赤葦先生や、いろんな先生が慰めてくれるの。」
谷地「??声が……聞こえていたんですか?」
「うん。聞こえてたんだけどね。現実と向き合う決心ができなくて。目を覚ますのが怖かったの。」
谷地「どうして、決心が……ついたんですか?」
「私が殺めてしまった患者さんの家族が来てくれたの。そして……自分を許してあげてって。たった、たったそれだけの言葉が、私の肩の荷を下ろしてくれた。」
谷地「素敵な……話ですね…。」
「私が目を覚ました時、〝人を殺めてしまった時の償い方は人それぞれ〟だと。私にはできないけど、貴方は人を救うことができると。だから、わたしは、いまも医者をやってるの。」ニッ
谷地「わたし……っ、、」
「仁花ちゃん。麻酔科から少し離れちゃうけど、私のフロアの薬剤師になってみない?」
谷地「ふぇ、?」
「人を救うのは手術をする人だけじゃない。菅原先生が、仁花ちゃんのこと、すっごく褒めてた。頑張り屋さんだって。」
谷地「い、いえっ、、!大した事はできなくて……頑張ることしか取得なくて…。」