第1章 俺だけのストーカー
その日俺は丸と横とご飯を食う約束をしてて
それぞれ別々の仕事場から
店に集まる予定やった。
一番に店に着いた俺は
通された個室の部屋の中
先に注文したビールを片手に
スマホをいじってゲームなんかをして
時間を潰してたけど
いい加減ゲームにも飽きて
時計を確認したら
待ち合わせの時間からは30分もすぎてて
思わずため息が出る
"もう帰ったろか?"
なんて言葉が頭をよぎった時
「お待たせ!」
そんな丸の声がして嬉しくて
「待たされたよ(笑)」
なんて笑顔で顔を上げた瞬間
俺の目に飛び込んできたんは
真っ赤な顔で俺を見つめる
ストーカー!?
なんでなん?
どうしてなん?
ほんまなん?
訳のわからん言葉が頭を埋め尽くすけど
でも確かに丸の声がしたはず…?
なんてなんとかパニックにおちいってる頭を振り
ストーカーとの距離を縮めることなく
出来うる限り首を伸ばしストーカーの後ろに
目を凝らすと
俺のビビりまくりな行動を見ながら
笑いを必死にこらえてる丸が見えて
「おい丸?
なんでストーカーがここにおんねん!?」
そう声をかけると
まったく訳のわからん俺をよそに
「やっぱり私帰ります。
私ストーカーじゃないんで!」
なんてストーカーは丸の方にくるりと体を向ける。
でも丸はそんなストーカーの背中を押し
「大丈夫!すずちゃんがストーカーじゃないのは僕が分かってるから(笑)たまたまここに来る途中で見かけて、つい嬉しくて俺がナンパしてきちゃっただけやもんね(笑)?だからしぶやんこの子も一緒にごはん食べてもいいよね?」
聞いときながら俺の返事なんか聞くこともなく
部屋の中に入り俺のとなりにストーカーを
座らせる…
何なんこの気まずい空間…?
いまだに訳のわからん俺のとなりには
俺を見つめるストーカーがいて
その隣には
ニコニコしながら俺とストーカーを見つめる
丸がいて…
誰かこの意味不明な空間から
俺をどっかへワープさせてください(涙)