第1章 月夜【レイリー】
こんなに近くに居るのに、とてつもなく距離があるような。
行きずりの関係ならばそんなの気にならない筈なのに…なんだか寂しいと思うのは今この瞬間、気持ちが流されているだけ。
そう言い聞かせて、レイさんの右目に走るキズに触れて話題を変えた。
『このキズ…素敵ね。すごく魅力的に見える』
「そうか?じゃあ付けた奴に感謝せんといかんな」
よく見ると、身体の至る所に古傷のようなものがある。そこに顔を寄せて舌を這わせていく。
脇腹を舌先が掠めた時、レイさんが微かに身体を捩った。
『くすぐったい?もっと舐めさせて』
「こら!やめないか」
『イヤって言っても止めれないもん』
「とんだ仕返しだな」
2人でクスクス笑い合う。
そして、彼の中心に手を伸ばしてそっと触れた。
『コレも舐めて良い?』
「舐められるのは恥ずかしいのに 舐めるのは恥ずかしくないのか?」
『全然』
そう返してレイさん自身に舌を這わせた。
奥まで咥えて舌や唇で刺激を繰り返す。
「ッ…ハァ」
吐息が漏れる音がして、顔を見上げると眉間にシワが寄っていた。男性のそういう顔を見ると興奮で鳥肌が立つ。どうしよう、早く、早く一つになりたい。どうしてこんなにも気持ちが急くのだろう
チュプッと音を立てて唇を離して、ユルユルと手で扱きながら声を掛けた。
『挿れてもいい?』
そして返事は待たずに一気に腰を落として彼のモノを根元まで自分のカラダに埋めこんだ。
「っ…随分、せっかちだな」
レイさんの体に手をついて、前後に腰を動かす。そうすると、イイところに当たってすぐにイキそうになってしまう。
もっと楽しみたい。そう思って動きを変えた瞬間 グッと腰を掴まれた。
『どうしたの?』
「こっちの方がイイだろう?」
そう言って前後に腰を揺さぶり始めた。
『まっ…て、ソレ…』
言葉を紡げないくらいの気持ち良さ。
どうしよう、また昇りつめてしまう そう思った瞬間突然手を止められた。