第1章 月夜【レイリー】
この空気、ダメなやつだ。
自分が流されてしまいそうな予感をひしひしと感じながら、レイさんを見つめると
「何て顔しとるんだ」
と笑われてしまった。
「ニレが困るなら何もしないぞ。」
そう、レイさんは無理強いなんてしない。
そんなのわかってる。
『…違う。そうじゃないの』
この感情は一時の気の迷い?正常な判断かどうかなんてわからない。ただこの時、心に浮かんだ感情を言葉にしてしまった。
『……………わたし、今すぐ抱かれたい』
そう言った瞬間、抱きすくめられた。
「そうか、ニレも月に惑わされているんだな」
違う、月なんてきっと関係ない。わたしは自分の意思で抱かれる事を選んだのだ。
そこからどうやって家まで帰ったのかよくわからない。
気が付いた時にはベットルームでキスをねだっていた。
『もっと屈んで。届かない。』
レイさんの服を掴んで唇を重ねる。
夜の空気に触れていた唇は少しひんやりして気持ちいい。
薄い唇を食むように口付けていると、わたしの身に付けていた服たちは彼によってスルスルと脱がされていく。
ほら、やっぱり手馴れてる。
差し込まれた舌は生き物みたいにわたしの口内で蠢いた。
次第に激しくなる舌の動きに快感を催されて
『んっ』
と鼻にかかった声が漏れる。
キスだけで、気持ち良すぎて涙目になってきた。
ニレから声が漏れ始めた所で唇を離して見つめると、瞳に溜まった涙が射し込む月明かりに反射してキラキラと輝いている。
「続けるが大丈夫か?これ以上進むと、イヤだと言っても私は止められんぞ?」
『お願い、続けて。』
耳元で息を吹き込むように返された言葉に突き動かされるように、ベットへ押し倒した。
傍で服を脱ぎ捨てると、彼女から息を呑む音が聞こえた。
『ねぇ、何でそんなにいいカラダしてるの?触りたい!』
さっきまでの色っぽい表情は何処へやら、ペタペタと胸やら腹筋やらを触って興味津々と行った様子で見つめている。
「続きをしてもいいか?」
『あ、うん。もう少しイヤラしく触るべきだった?ちょっと感動しちゃって』
「構わんよ」
そう言ってニレへの愛撫を再開した。