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My Favourite Things

第2章 故郷の色【イゾウ】


「お前ら何笑ってんだよ!そりゃ女抱きたくもなるだろ、久しぶりの上陸だぞ?ここで抱かなかったらお前ら枯れたジジイと同じだぞ!」

そう俺たちに捲し立てていたサッチの視線が何かを追って動いた。

「なんだよ?良い女見つけたか?」

「……スゲェ…めちゃくちゃ可愛い仔猫ちゃんが居た!」

「「ヘェー」」

「何だよその気のない返事は!?み、見たか?今の子」

「見てねぇ」「見てねぇよい」

「お前らの目は何の為に付いてんだ!」

断じて可愛い子を探すためだけに付いてるわけじゃない。
戦闘中にフル活用しているんだからむしろ普段は休ませてやりたい。

「一瞬だろ?顔の判断なんてつくはず無いだろうよい」

そう返すマルコにサッチは猛然と女の特徴を捲し立てていた。
それはもう、良くあの一瞬で判別出来たと思う程事細かに。半分は妄想じゃねぇか?と疑うくらいに。

歳は多分二十代前半
背は低い
色白
ややつり目でまつ毛が長い
唇は少し厚くて下唇が ややめくれた感じがやたらセクシー
ダークブラウンの髪
気怠げな雰囲気

「……そんなに印象に残るような女かよい?そんな特徴のやつはいくらでもいるだろう」
やや呆れ気味のマルコ。
口には出さないが俺もそう思う。その時、何とは無しに見聞色の覇気を使ったのはただの気まぐれだった。その「仔猫ちゃん」とやらが向かう先の気配にピクリと眉が動く。
それを察した2人も見聞色の覇気を使ったようだ。

「…さて、行くか。」
わざわざ隊長自ら面倒ごとに首を突っ込む訳にはいかない。仔猫が向かった先の気配は友好的とは言い難いが、それをどうにかしてやる義理もない。歩き始めた俺とマルコにサッチの声がかかる

「お前ら…あの仔猫を甘く見過ぎだ!マジで可愛いかったんだからな!一瞬でわかるくらいだぞ!」

仔猫に対する俺たちの反応がお気に召さなかったらしく、あろうことか仔猫が消えた路地裏に向かい始めた。

「おい!どこ行くんだよ!?」

「一度しっかり見てみろって。」

そんな流れで俺たちは仔猫の前に姿を現わす事となった。
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