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My Favourite Things

第2章 故郷の色【イゾウ】



久々のでかい島への上陸でモビーディック号の船内は活気づいている。船員達はバタバタと走り回ってそれぞれの役目を果たしつつ上陸後の予定に思いを馳せているに違いない。

そんな奴らを目の端でとらえつつ自分はどうしたものかと煙管片手に思案しているとガシッと首に腕を回された。

「イゾウ~、お前も付き合えよ」

回された腕を解きつつ声の主を見やる。
(サッチも相当上陸を楽しみにしていた一人だったな)
そう思い出して口角が上がる。

「お!その顔は行くよな?だよな?」

自分の欲望を少しも隠すことのない開けっぴろげな性格のこの四番隊の隊長はもう色町にでも繰り出すつもりらしい。

「あぁ、少し街を見ておくか」

サッチは手あたり次第に声を掛けたらしいが一緒に船を降りたのは俺とマルコ、サッチの三人だった。

マルコが降りる理由は自分と同じだろうな、と何となく感じた。この規模の島であれば、出くわす敵の数も少なく無いだろう。
白ひげ海賊団の名が世界に轟いているからこそ、敵も多くなる。名前に怖気付いて戦わない様な奴らはこの新世界では生き残ることさえ出来やしない。…そもそもそんな奴は新世界には辿り着いていねぇか。
街の様子を把握しておけば有事の際も何かと動きやすい。その後で武器を扱う店に行って新しい銃を見るのも良いかもしれない。

島の治安は良さそうだ。白ひげ海賊団が上陸したという情報はもう伝わっているらしく、街を行く人達からの視線は好奇と畏怖の混じったものだ。隊長たちの手配書は広く出回っているわけでこんな雰囲気は上陸のたびに繰り返されている。

適当に歩いていると、サッチが目指していた色街らしき一画が見えて来た。まだ日が高いせいか街は夜のあの賑やかさを潜めて静かに呼吸している。

「あー、どの店が評判良いんだろうなぁ」

かなり緩みきった表情でサッチがキョロキョロしている。

「おい、日が暮れてからでも、遅くはないだろ?何サカってるんだよ」

笑いながら返す俺の言葉にマルコも肩を震わせていた。
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