第2章 故郷の色【イゾウ】
検査はいつも通り終わって、異常無し。
ホッとしてると先生に話しかけられた。
「今日からまた忙しくなりそうだね」
『あぁ、白ひげ海賊団は大所帯なんでしょ?』
「そうらしい。でも、無理はしないで」
『うちの店は大丈夫。ママの店だから、無理に大勢客取らすとか無いから。
先生もたまには遊びに来たら良いのに。サービスするわよ?』
「やみつきになったら困るだろう?それにヒイロは人気が高いから中々指名出来ないって聞いたよ」
『人気なんてホントわからないものよ。明日には役立たずでお払い箱になるかもしれないし。
シビアな世界だからどうなったって覚悟は出来てるけど』
「年齢の割に達観しているね」
『こういう仕事してたら自然とそうなるの。あ、先生ピルちょうだい』
「ピル飲んでても、ちゃんと避妊具も使わなきゃダメだよ?」
『わかってる』
薬を受け取ると、あたしは病院を後にした。
色街にあるあの病院の先生には、あたしが仕事を始めた時から診てもらっている。
でも、他の店の女の子を病院で見かける事は殆ど無いから やっぱり他の店は働いてるコを定期的に検診なんてさせて無いんだなぁと実感する。所詮使い捨てってことね…
そう思いながら、今日の夜に思いを馳せる。
うちの店は他の店に比べて割高、だけど女の子の質も高い。
そういう評判は上陸した船の船員達には驚く程早く伝わる。それが商船であっても海賊船であってもだ。
ママは「イイ思いさせてもらって女に妥当な金額を払わない男はクズだ!」と常々言ってるから
値切るような客は最初からお断り。
今回は四皇の一角を担う海賊団だから安心して、寧ろ過度な期待をしてお客の入りを見つめるんだろうな ってことは
早く帰って夜に備えよう。
そう考えていつもは通らない近道の路地裏を通って帰ることにした。