第16章 伝えられない思い*黄瀬
視界には、優っちをたたくためにあげたと思われる腕が入ってきた。
その腕を掴む。
「ちょっと誰!?…黄瀬君!?」
彼女たちは信じられないという様子で俺を見た。
「優っちに何してるんッスか?」
「…!えっと、ただこの子が黄瀬君にちょっかいだしてるから…どういう関係かなって…」
しどろもどろになりながらそう答える。
「涼くんから言ってあげて。…そうすればわかってくれるから…」
優っちは俺から目をそらし、そう言った。
その目にはうっすら涙がたまっていた。
「も~!みんなでなに勘違いしてるんスか?…優っちとは部活の仲間ッスよ!!」
ちょっとだけ仲間を強調した。
せめて仲間って繋がりが欲しかったから。
…好きッスよ。優っち。
大好きッス。
でもこの思いが君を傷つけるなら、
…俺はこの気持ちを胸に閉まっとく。