第3章 新しい朝*緑間
(茶倉…。)
心の中で、彼女の名前を呼ぶ。
思いでの中の彼女はふわりと柔らかい笑みを携えて、振り返る。
俺の中では、充足感と寂しさが生まれる。
あの笑顔が日常ではなく思い出になってしまうことに、胸が痛む。
すると…
「やぁ!初めましてー!」
ノリの軽そうな声の主に、いきなり話しかけられる。
「誰なのだよ。」
「あっ!オレ、高尾和成!」
訝しげな俺を気にもとめず、ヘラヘラと笑いながら話すのを止めない。
(何なのだよ、こいつ。)
が、俺の思いを無視して話し続ける。
「オマエもバスケ部だろ!」
「…なんで知ってるのだよ。」
「知ってるにきまってんだろ!キセキの世代の一人じゃねーか。有名だろ!そんな奴と一緒にプレイできるなんて、楽しみだぜ。よろしくな、真ちゃん☆」
一気にまくし立てられ、圧倒される。
ん?
ちょっと待つのだよ。
…真ちゃん?