第67章 もう一つの真実*高尾
「「は?」」
思考が停止する。
え、女の子同士ってことは、え?
「千秋って女なのか…?」
「そうだが。」
血の気がサァッとひいていく。
ウソだろ?は?まじなのかよ?
一度放棄した脳内は、今度は違う方向に忙しく働き始める。
「でもでも!その格好、完全にメンズだろ!」
「服を買いにいく時間がないから、撮影で使ったものをそのまま買い取っているからな。」
「ではなぜメンズ雑誌でモデルをしているのだよ?」
「元々メンズの方のモデルに欠員が出て、父さんがふざけて俺を呼んだんだ。その名残だな。」
「その喋り方は?!」
「これは妹が、『お兄ちゃんが欲しい』といったから兄のように振る舞っていたら、定着しただけだ。この方が楽だしな。」
「プロフィールはどうなっているのだ?!」
「ああ、それはミステリアスで売ってるからな。それも非公開にしろって事務所から言われてある。まあスタイリストさんとか知ってる人もいるけどな。」
千秋はオレたちの問いをすかさず論破していった。
マジか…今まで男だと思っていた分、衝撃が大きい。
正直言うと、優ちゃんの過去の方は何が来ても受け入れる覚悟が出来てたけど、こっちはホントいきなりだったから、千秋のことの方が驚きが大きい気がする。
あ、これオフレコな。
「茶倉はいつから気がついていたのだ。」
「割と初めからかな?…動き的に女の子っぽかったし。」
それを聞いた千秋がなんだか悔しそうに見えたのはオレの気のせいだろうか。
「まだ男になりきれてないのか。」
…どうやら本当に男っぽくみられたかったようだ。