第66章 真実*茶倉
「いや、病気だったんだろ。しょうがねぇって…」
「そ、そうなのだよ。茶倉のせいでは、ないのではないか…」
2人が庇ってくれようとしてるのはわかる。
でも病気だったからって割り切れそうにない。
なんたってそれだけ私にとって大事な人なんだもん。
「たしかに影響した。」
「!?おい、千秋?」
和くんが驚いたように立ち上がる。
「お前は優ちゃんをどうしたいんだよ?!」
「茶倉を守りたいのか、責めているのか、はっきりするのだよ。」
二人のその声は怒りを含みながらも冷静さを失ってはいなかった。
あくまでも私のために声を荒らげているようだった。
「私が悪いんだもん。はっきり言ってくれていいよ。」
事故がなければきっともっと生きられたという事だろう。
私を庇いさえしなければ、千秋はもっと亮さんとの思い出を作れたのだろう。
それを奪ったのは私。
「それでも優ちゃんのせいにするのは…」
「腑に落ちないのだよ!」
「…お前らは人の話を聞く気あるのか。」
「っ!」
千秋の怒気のこもった低い声に私は肩を揺らす。
和くんも真くんも怯んで、そのまま黙った。
圧倒的なオーラがその場を支配する。
誰も逆らえない。
このオーラを私たちは体験したことがある。
(征くん…)
千秋のオーラの中に、昔私たちのキャプテンだった彼と同様のカリスマ性と統率力を感じた。
ただ、そんな考えが浮かんだ時には、既にいつもの千秋…いやいつもよりも柔らかい笑顔を浮かべた千秋がいた。
その笑顔に心臓がドキリと跳ねる。
人気モデルというのも頷ける美しさだった。
「これから全部話すから……
聞いてくれるか?」
その問いに私たちはただただ頷いた。