第66章 真実*茶倉
「は?」
「なんだと。」
「嘘っ!」
返し方は三者三様だったけれど、3人がそれぞれ間抜けな声になる。
「じゃあ俺からも聞くが…もし事故で父さんが死んでいたとしたらこの本は誰が書いたんだ?」
言いたいことがわかったかも。
…そっか、致命的な事実を見失っていた。
「本当に亮さんが書いたんだよね。」
「ああ、間違いない。」
「じゃあ亮さんは………」
本では男の人の最期のシーンで終わっていたから、そうだと信じ込んでしまっていた。
それに私が目を覚ましたときにはもう…亡くなっていたから。
でも真実は違っていた。
実際には亮さんはあの事故で命を取り留めた。
そして遺作となる『天空華』を書き上げたのだ。私の事故を元にして。確かにこの話を書けるのは亮さんしかいないだろう。
そして、その後…
病気で亡くなった。
私が目覚める前に。
「決めつけてないか」と言う千秋の言葉はそういう事だったんだね。
でも、やっぱり…
「私が亮さんの死に影響したことには変わりないと思う。」
やっぱり罪悪感は消えそうになかった。