第66章 真実*茶倉
「あの事ってなんなんだよ!?」
和くんが戸惑いの声を上げる。
私はまた目を閉じる。
これで何度目の暗闇だろうか。
「うん……その前に、ここで千秋に二つ目の質問。」
もうどうすればいいかわからない。
この質問がイエスだったとして。いやその可能性がほとんどだが、私にはどうすることも出来ない。
もし千秋が嘘をついてノーと言ったとしても、私の中に蠢く罪悪感が消えるとは思えない。
事実は変わらずに残酷なのだから。
ならなんのために話すのだろうか。
自己満足になってしまうのではないか。
結局自分のためなのではないか。
そんな考えに至って、目頭が熱くなる。
そんな私を察したのだろうか。
「俺は茶倉のことが知りたい。どんなことであってもだ。」
鋭く、でも優しさを含んだ真くんの目。
ああ、みんな凄いな。
震える口をゆっくり開いた。
「亮さんを殺したのは…私。」
「「!?」」
質問じゃなくて断言だった。
真くんも和くんも驚いた顔で次の言葉を待っている。
「あの事っていうのは、私が記憶を失った事故。」
「つまり…」
2人とも結論付けたようだった。
千秋は顔を伏せていて、どんな表情かはわからない。
なんだか悲しくなって、でもどんな顔をすればいいのかわからなくって。
少しだけ自嘲気味に笑っていた。
「あの事故で私をかばったのは亮さんだったの…」