第66章 真実*茶倉
「私が亮さんに初めて会ったのは小学三年の頃だったかな。
亮さんの本がドラマ化することになって、それにお父さんが出演することになって…その時の打ち上げに私も連れてってもらったんだ。
その時は可愛がってもらったっていうことしか覚えてないけど。
……でも、その二年後の冬。亮さんと再開したの。
その頃から記憶力はいい方だったから、二年経ってても一目で亮さんだってわかった。
それは亮さんも同じだったみたい。
むしろ私の方は成長してるんだから、亮さんの方が記憶力がよかったのかもしれないね。
それでその時の亮さんは昔とは様子が違っていたの。
だからなんだか心配になって、いつの間にか話しかけていた。
どうしたのって聞いたら、驚いてから少し寂しそうな顔をして、『本のいいアイデアがないんだ』って。
だから私は『じゃあ私も探してあげる!』って言ってたの。
そこからかな。
私たちが話すようになったのは。
学校のこととか。
今なにが流行ってるとか。
今なにを習ってるとか。
なにが好きかとか。
私は身近なことを話してたっけ。
亮さんは私に色々なことを教えてくれた。
亮さんや他の人の書く本のこと。
私の知らないお父さんの仕事とプライベートのこと。
自然のこととかちょっとだけ哲学っぽいことも。
そして亮さんの目に映る世界。
亮さんの世界は私の世界も変えていった。
そんな…そんな時に。
あの事が起こってしまった。」